サイトライン


 舞台を作り上げていくときには、舞台監督はかならずサイトライン(見切れ線)のことを考えて
いなければなりません。見きれ線にはお客様の立場で考えた、一番端の席からでも演技が見える、
というラインと、裏方の立場からみて、一番端の席からでも舞台裏が見えない、というラインが
あります。また、一番前の客席から舞台上部を見たときに、上空に見えてはいけないものを隠す、
という作業も必要ですし、最上階の最後列からでも、重要な演技エリアが見えるか、という検証を
しなければなりません。
 上部の見切れに関しては文字(もんじ)という幕が重要な働きをします。舞台に対して横一文字
にあるところから文字幕というようになったそうですが、地方によっては「カスミ幕」というとこ
ろもあります。古典的な手法ではこれによって上部の照明機材や使用していないスクリーン、反響
板などをすべて隠すのですが、現在では照明機材をあえて見切れさせる舞台の考え方もあります。
 一方、舞台のサイドの見切れには袖幕もしくは東西幕が欠かせません。
 日本では古来から文字、袖といえば黒、というのが常識であり、舞台では黒は無を意味すると
されてきましたが、ヨーロッパではかつては黒の文字、袖は考えられず、舞台装置にあった色の幕
あるいは装置そのもので上部、サイドを隠すというスタイルが一般的でした。
 現在ではヨーロッパでも日本の影響か?黒の文字、袖を使うことは珍しくなくなりました。
文字
 その検証の際に欠かせないのが平面図と断面図です。以前はこれらは劇場、ホールから入手した
ものに手書きで書いていましたが、いまではほとんどの場合CADソフトによってパソコンで書かれ
ています。美術家から手書きの図面しか提供されない場合には、舞台監督がそれをもとにパソコン
で引き直すことも珍しくありません。劇場、ホール側でCAD図面のデータを持っていない場合は、
当社では専門のオペレーターが紙の図面をもとにCADデータをおこす作業も行なっています。
舞台関係者に一番利用されているCADソフトはおそらくVectorWorksだと思われます。
 



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